「雷ガード」なる製品の効果は限定的、直撃雷を食らったら全く歯が立ちません

雷保護のグッズ、例えば雷ガードやサージプロテクタなどと名前の付いている製品があります。テープルタップの中に雷ガード機能があることをアピールしている製品もありますが、これは本当に役立つのでしょうか。

前回も説明したとおり、雷の高い電圧がかかったときに素子がショートさせて高い電圧を抑制する仕組みです。たとえば電源線に通常100Vのところに雷の電気が回り込んできて、数千ボルトの電気がかかるかもしれません。

ガードする素子とは「バリスタ」と呼ばれているもので、通常は2つの端子間はほぼ絶縁されていますが、定められた電圧より高い電圧がかかると2つの端子間が導通し雷の高い電圧をショートさせて高い電圧がかからないようします。

バリスタだとコーヒーを煎れるプロの人と混同してしまうので、酸化金属バリスタ、などと呼んだほうが誤解がないでしょう。

バリスタは、導通し始める電圧、最大電流などで種類があります。雷ガード機能のあるタップなどに入っているバリスタは雷の電圧を検知すると導通するような1個100円もしない程度の小さな素子です。

普通に考えればこんな小さな素子でまともな雷の直撃から守ることはできないので、あくまで近所に落ちて雷が回りこんできたときにそれを抑え込む程度のものです。

また、逆にどんな雷でも耐えられるようにバリスタの定格電流を上げたものを使えばいいと思うかもしれませんが、そうなると別のところに負担がかかり、もっと危険です。

 

製品を写真を見るとわかりますが、だいたいLEDが付いています。バリスタの状態を示すものでバリスタが雷を受けて焼損するなどした場合にLEDの点灯が変わって寿命を示します。一度誘導雷を受けるとそれで寿命を迎えてしまうこともありますので、保護性能を維持したければ注意すべきところです。

ただ、誘導雷がやってくること自体がほとんどないことですので、効果はなかなか実感しにくいと思います。

 

コンセントに付ける雷ガードのほかにも、分電盤に付けるものもあります。構造的にはコンセントに付けるものと同じで、バリスタで異常な高圧の電気を短絡するという仕組みです。

 

バリスタなんて小さく安い部品なんだからいっそ機器に内蔵してしまえばいいと思うかもしれません。実は特に雷対策がしてあると言わなくても内蔵している機器もあります。例えば太陽光発電の接続箱などには入っています。

雷ガードですが、役に立たないことはないにせよ、効果は限定的です。まともな直撃には歯が立ちませんし、そもそも雷で電気機器を壊すようなことになること自体が意外にレアケースで、そのなかでも弱い誘導雷に役立つという程度です。1次的な対策はコンセントやケーブルを抜いて遠ざけることが第一で、家に在宅してない、ケーブルを抜き忘れときのために、雷ガードで場合によっては防げる、程度に考えるほうがいいでしょう。

 

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