雑な家電評論家にだまされないように
ここ数年、もてはやされている「家電評論家」。全員が全員とは言わないけれど、信用してはいけない人が多いのかもしれません。なぜなら技術的裏付けや実際の効果を検証なしに製品を「良」と決めつけたり、比較しないのに製品の優劣を決めつけてしまったりということが多いからです。
例えば、電熱線を使っている暖房器具であれば、ジュールの法則以上の熱は出ないはずです。ですので「エコ」というモードがあっても熱の総量は変わりません。何かであまり熱を発しなくても暖かく感じる工夫が「エコ」なのですが、全方位で熱が増えることはありません。ほとんどの家電評論家はそれについての解説は無しか、メーカーの発表文の美辞麗句の部分をそのまま丸写しのどちらかです。
エアコンのレビューでも、同じ場所に設置してないのに優劣がわかるはずがありません。長期利用した使い古しの製品と比較して、音が静かになっただのすぐ暖かくなった涼しくなったというのは、全く意味をなしません。現実的に難しいのかもしれませんが、そうであれば、そういう書き方があるはずです。
近年、エアコンの電気代についても、付けっぱなしが得か、こまめに消すほうが得かと言われたところがありましたが、いわゆる「ワットメーター」で同じ天候の日に測れば一発なのに、1カ月の電気代計測を待っているという方法で検証していた家電評論家もいました。
また、過電流防止機能付きのタップをありがたがったり、発熱や発火をやたら「ショート」と言う人も要注意です。そういったところをチェックせずに掲載してしまうメディアも信用ならないでしょう。
本来はテクノロジーを解説する立場であるのに、メーカーの発表文を丸写ししてしまい、本来解説すべき点をないがしろにするのはどういう評論家でしょうか。せめてググれば公式や間違いのない情報に当たることができるのに、それもしません。
そういう評論家が存在し続ける限り、能書きに飾られただけの家電を出すメーカーや製品は増えていくでしょう。こんな風潮が進めば、日本の白物家電業界はますます「意識高い系に侵された割高家電」とノーブランドの少し怪しいシンプル家電のどちらかだけになり、さらに空洞化が進むと思われます。
いちばん必要なのは、シンプル性能を十分な品質で実現する製品だと思うのですが、注目されなければ製品として存在しなくなり、割高家電と怪しいシンプル家電だけに落ち着いていくかもしれません。結果、困るのは消費者です。