住宅も科学で語るべき、重いものに耐えられるのは当たり前なので……

ある住宅メーカーが報道陣(?)を呼んで鉄球当ての試験をしたようです。軽量鉄骨住宅なのだが、1トンの鉄球を横から当て、衝撃を吸収していました。

ここで疑問が。鉄球を当てたのは衝撃吸収がうまくいってるというデモのようですが、これが即、地震で丈夫な家とはなりません。そもそも地震というのは地盤が揺れていて、建物の上のほうとのズレが1階部分を軸組を壊すというもので、2階部分と荷物を加えた建物の共振周波数によって変化するので住まい方によって大きく変わります。一瞬のガツンという衝撃に耐えられるかどうかと、共振による大きなうねりの力に耐えるのとは、違うからです。

そして、1トンの鉄球を振り子状態でぶつけたときの衝撃の強さはまた別問題です。1トンという重さを振ったときの力を大きさがどんなものかもきちんと示して評価すべきです。

もちろんそんなことは分かった上で、複数回の衝撃に耐えられるわかりやすいデモということで鉄球を当てたのだとはわかります。報道をよくみる限り、主なところは複数回の衝撃に耐えられるという点のようです。

しかし、報道するほうが鉄球を当てても大丈夫としか思わなければしょうがありません。文字数制限のありすぎるマスコミなら、鉄球当ての写真を乗せて「はい、大丈夫」で終わりです。

そしてもうひとつ。今回のメーカーに限ったことではないですが、軽量鉄骨住宅は筋交いやダンパーの緩衝作用で地震の横揺れから軸組を守ります。ですので、中途半端に大きな地震の場合、筋交いなどパーツの交換が必要になってきます。これがけっこうな費用になります。パーツそのものの価格のほか、内装の壊しと復元も含めると相当な金額です。家は崩れなくても生活再建に大きなお金がかかることも気に留めておくことが必要です。その点では、大きな地震の後にパーツを交換しないでも済むような作りは歓迎すべき点かもしれません。

また、軽量鉄骨住宅の場合、しなりも計算のうちです。これは、住んでいるときに建物の不快な揺れや建物のいやな響きにつながる恐れがあります。さまざまなケースで共振しやすいということは、例えばエネファームの超低周波騒音にも脅かされる可能性があるということです。これは、設計次第で良し悪しは大きく変わる部分ですが、木造住宅と比べて大きく違う部分です。

地震対策はいろいろですが、本当に来るかどうかわからない極端な大地震に特化しすぎて、ふだんの生活が不快なものになったり、家が一部損傷するような中途半端な大地震の際の生活再建が金銭面でできなくなってしまう家は考えものです。

家を選ぶとき、インパクトのある宣伝には本当に惑わされないようにしたいものです。科学的に考えることと、極端な事例にとらわれてすぎて著しくバランスを欠くことのないようにしたいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください