無電柱化は慎重に、手放しで歓迎すべきことではありません、デメリットを整理した

台風被害のおかげに加えて、阪神淡路大震災の時期ということもあって、無電柱化についての記事や報道が多くなっています。その視点に決定的に欠けているのは最終的ないち消費者が負担するコストです。私としては反対も賛成もしませんが高くなるコストを誰が負担するかという問題や、デメリットのことを考えると、慎重に、としか言いようがありません。

まず、無電柱化によって景観がよくなり、土地の価値が上がるとされています。そして、電柱は共同溝のほか、今後は直接埋設なども検討されるようになります。無電柱化により、風や地震による電柱の倒壊がなくなり、被害がなくなるとされています。いいことずくめとされています。

しかし、土地の価値が上がることは直近に売却を考えている人にはいいかもしれませんが、固定資産税が上がるだけで継続的に所有する人には迷惑な話です。相続税も高くなるかもしれません。

さらに、無電柱化により、工事の手間が大幅に増えてきます。例えば、電気工事は比較的多く発生するものです。今後、電気自動車の導入やいわゆるオール電化などによって、自宅に引き込む電線を張り替える必要性は以前よりも多いかもしれません。1軒だけが電気容量を大きくするならまだしも、周囲の家が徐々に設備を更新して電気を使うようになれば、幹線を張り替える必要があるかもしれません。

そのとき、共同溝であれば比較的簡単ですが、将来多くなる直接埋設だとすべて道路を掘り起こす必要があります。

そして、そもそものことですが、埋設になると工事費がかかってきます。現在、上下水道では最初に一定額の費用負担があったり、高額の工事費がかかっています。ところが電気の場合、引き込み点まで自分で用意すれば、あとは電力会社がタダ(東京電力の場合)でやってくれますが、これが変わる可能性が高いです。

災害に強いという話ですが、地震の場合、地割れや地すべりがあれば、埋設した場合の復旧は手間がかかるほか、安全確認ですらすぐにできなくなります。そして、水害や水害までいかなくても、大雨後の安全点検も面倒になってきます。地中化によってリスクは減るといいますが、新たなリスクが発生することは忘れがちです。

現在、電柱を使っているものは電力のほか通信もあります。光ファイバーが埋設になれば、頻繁な工事は困難となり、現在のような競争環境がなくなり、インターネット回線の料金が高どまりになる可能性があります。ラストワンマイルを無線に置き換えるような動きをするにしても、電柱がなければ、ラストワンマイルまでの経路のベースがなくなります。同様にスマートメーターの通信のベースもなくなってしまいます。

つまり、非常にコストが高くなり、せっかくできた競争環境なども大きく変わってしまう可能性があるということです。ついでにいえば、道路工事が増え、凸凹道の発生も高くなります。

一見、メリットがありそうな無電柱化ですが、最大のデメリットであるコストはいずれ個々の消費者にかかってきて、その上、細かなデメリットもでてくるということです。それは導入時だけではなく、維持管理のためのコストやデメリットもあります。

いいことなのに動かないのは、利権や陰謀論なども含めて語られがちですが、いまいちど冷静に考えたほうがいいと思います。

なお、無電柱化は商業地や共同溝を使った幹線部分の無電柱化は考えられますが、一般的な住宅地での無電柱化は、前述の問題を考えればまず無理といえるでしょう。

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