マイ電柱についての考察。もっと別の方法があるのかもしれない
オーディオマニアを中心にいわゆる「マイ電柱」が注目されています。電柱というよりは自分用のトランスというほうが正確です。通常の単相200V引き込みではトランスが近所で共有ですが、それを自分専用にするというわけです。身近にもマイ電柱を検討している人がいたのでまとめてみます。
まず、電気は家の近くまで6600Vで来て、柱上トランスが電柱の上のほうについていて、そこから200Vや100Vに落とされて各家庭にいくわけですが、トランスを共有している家のノイズ、というか負荷の変化による電圧変動などが発生します。電力が変化することで、電線の抵抗分によって電圧が変化します。それが極端に変化すればパチっというノイズになったり、力率が低い負荷があれば、電源の波形が乱れてノイズになったりします。
それを、6600Vを自分のところに引き込み、自家専用のトランスで100Vや200Vとして使うことで近所からの影響をなくそうというのが自家専用トランス、マイ電柱の目的です。
また、自家専用トランスまでしなくても、電線の張り替えをすすめられることもあります。通常、電柱からの引き込みの電線は電力会社が決めますが、より太く、銘柄もこだわった電線で張ってくれるというものです。
そこで、電圧変動を防ぐためにオーディオルームに太い電線で電源を引きたいとなった場合は、最初からそのように設計することをおすすめします。最初から太い電線を通すこともそうですが、あとから交換できるようPF管を使って電線を引き回したり、太い電線を通すためのスペースの確保をしたりすることです。もちろんオーディオ機器の近くにコンセントを配置するのは絶対です。そして、PF管は放熱のこともあるので、かなり余裕をもった太さのものが必要です。
しかし、本当にそんなことが必要なのでしょうか。オーディオ向け電源工事を受け付ける電気工事店の説明を見た限りでは、電線をただ引くだけでなくノウハウも必要とのことで、他店で満足していない工事のやり直しもするとしていました。こちらからすれば、電線を引き回して端子を確実に接続していれば、誰がやってもそう変わるものではありません。そこで、よく見ると、分電盤がオリジナルのものになっていました。
もしかするとここにヒントがあるのかもしれません。現在の一般的な分電盤の分岐ブレーカーはコンパクトブレーカーです。電気の流れは盤の金属バーにコンパクトブレーカーが接触するだけなので、ここをネジ止めするようなブレーカーや配線にすると変わる可能性があるということです。また、バーに接触するのはコンパクトブレーカー側のバネなので、古くなったコンパクトブレーカーを交換するだけでバーとの接触がよくなり、音質が変わる可能性はあります。
また、ブレーカーは何度も落ちていると接点が劣化します。劣化した接点を電気が通ればどうなるか想像がつくと思います。
筆者としては高価な工事を頼む前に、分電盤の交換やブレーカーの交換などを先に試してみることをおすすめします。東京電力のエリアなど、アンペアブレーカーが付いている家ですでにスマートメーターに交換されている家では、アンペアブレーカーをバイパスし、電源経路の接点数を少しでも減らすということも重要です。
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