残価設定ローンに闇などなし、要はちゃんと確認せよ
クルマの残価設定ローンには落とし穴があるようなことを言う人が多く、そういった動画もあふれています。クルマ関係のサイトならまだしも、たまに金融系までも残価設定ローン=悪のようなことになっていて驚きます。悪と言っておけばPVが稼げるんでしょうか。そんなのばかりなので、つい、残価設定ローン=大損=悪みたいに考えてしまうのでしょう。
あるところでの比較で驚いたのは、残価設定ローンでありながら再ローンを組んで完済までした場合の総額と、通常ローンの比較をしていることです。そして、最初のローン金額も同じです。途中で乗り換えるときに有利な条件がある残価設定ローンだけに、完済を最初から考えるのなら、そもそもディーラーのローンなど利用せず、金利の安いふつうに銀行に駆け込めばいいだけです。
一般的には残価設定ローンを組んだほうが値引き額が大きくなったり、整備費用まで含まれているなどの傾向があり、同じローン金額として比較できるものではなく、金利や受けるサービス、途中のリスクなど総額で考えるものです。そして、トータルで大損になることはないといえます。
そして、残価設定ローンの最大のメリットである、3年や5年といった時期での買取額を設定しているメリットは大きいです。たとえば、残価が非常に高いトヨタ・アルファードですが、仮に3年後には今ほど人気がなくなってしまう可能性がないとも限りません。
そうした場合にも設定した残価で買い取ってもらえるのです。(返却で残債ゼロ)
反対に、もっと人気が出ることや急激なインフレなど社会状況の変化で、手放すときに残価よりも買取店での買取が高いとなれば、買取店に売ればいいだけです。いったん完済しないと売れないということになっていますが、一般的なクルマ買取店では、完済分はディーラーへ、残りは所有者へと振り分けてくれ、ローン会社への清算手続きもやってくれますので、完済するための手間も一時的な現金を用意する必要もありません。
実はこの点はあまり説明されていません。ディーラーに戻さないといけないと思い込んでいるから、損をするように見えるのでしょう。
売却は、残価設定の期間満了以外でも問題ありません。短期間しか所有しないつもりなら、残価設定ローンで値引きを引き出し、そのうえで適切なタイミングで高く買ってくれるところに売ればいいだけです。
一部で「途中解約で違約金がー」と言っている人もいますが、他人の無責任な話を信じる前に、自分のローン契約書を確認しましょう。ごくごく一部の契約では、繰上返済しても最後までの分の利息を払う契約があるようですので、そこだけ注意すればよく、契約時にきちんと確認すべきことです。そんな契約は通常はありません。
そして、事故や過走行の問題です。一括払いでも通常ローンでも、事故や走行が多くなれば売却時の査定は下がります。事故の修理代は自分で出す(保険で払ってもいい)必要もあります。最後まで乗るにしても途中で乗り換えるしてもトータルでは同等の収支、違いは金利や査定の差程度になります。
さらに、残価設定ローンなのに再ローンや一括返済をして最後まで払うような場合では、事故や走行が多くてもなんの問題もありません。定められた条件のもとでの途中での買取額を設定してるだけですので、ディーラーに戻さず最後まで払うのならそんな条件は関係ないのは当然です。ここでも違約金がかかるような言い方をしている人がいますが、誤解しないようにしましょう。
要はどれだけ乗るか、途中のリスクはどうか、などと、支払い額を計算すれば、残価設定ローンだから必ず損をするということにはならず、万一、クルマの相場が下がった場合でも残価が保証されることは十分なメリットです。無責任な意見に惑わされず自分で考える必要があると言えるでしょう。
一応、残価設定ローンをすすめるディーラーになんのメリットがあるかというと、3年後に走行少なめのクルマが戻ってくる。元のディーラーに必ず戻さないといけないと誤解する人、同じディーラーに相談する人もいるので、次回の営業チャンスにつながります。そのうえで、設定された残価は決して高くないので、中古車販売で2度儲かる、という仕組みです。もちろん、支払い金額が安いからクルマを安く買えると考える人もいるからでしょう。そして、人気車に限っては、ディーラーの設定した残価があるからこそ、一般の買取店はそれ以上を提示して、結果買取相場も高いまま維持されるわけで、新車で買って数年で売る人にとってもメリットもあるのではないでしょうか。トヨタ・アルファードがまさにそんな状況になってると思います。
ちなみに、今、世の中ではスマートフォンを通信事業者から購入するときに残価設定ローンは大流行です。2023年、2024年末と条件が厳しくなり、最初の2年間だけ極端に安い支払いにする方法が難しくなっていますが、依然としてお得になる可能性の高い買い方であることは間違いありません。
こちらもクルマと状況は似たようなものですが、途中解約がクルマほど自由にならず、場合によっては高額違約金のような(たとえば早期返却手数料のような)費用がかかるローン契約もあり、もしかしたらスマートフォンの制度とクルマを誤解しているかのような状況です。スマートフォンの分割払いもローン契約で、自分の信用状況に影響があるので、支払い方法や途中でなにかあった場合の手続きや費用などはしっかり確認しておきましょう。