ポータブル電源の選び方は「mAh」という謎の容量の単位もそうだが最大電力も気にしないと使えない
アウトドアをはじめ、庭やちょっとした屋外作業に便利な100VのAC電源がとれるポータブル電源。少し前ならAnkerの製品やホンダのリベイドが選択肢でしたが、今やさまざまなブランドからさまざまなものが登場しています。どう選んだらよいのでしょうか。
まず、基本的には容量と価格で判断することになりますが、容量の考え方です。
ポータブル電源やモバイルバッテリーで多いのが50,000mAhという「mAh」という単位です。数千を超える数値なのに「m(ミリ)」を付けてる意味がわかりませんが、数字が大きく見えて大容量そうに見えることもありますが、本来充電池単体ではミリの付く単位の容量ということもあり、そのまま慣習的にミリが付いていると思われます。
そして、必要なのは電力「W」なのですが、なぜか単位は「A(アンペア)」の電流です。リチウムイオン充電池は単体で電圧が3.6~3.7Vなので掛け算するとWになります。
mAhの最後の「h」は時間でアワーです。100,000mAhというポータブル電源であれば、(100000÷1000)×3.6で360Whとなり、100Wの電気が3.6時間取れるということになります。ポータブル電源によっては「Wh」の単位が書かれていることもありますので、どれだけ使えるかがわかりやすいです。
ちなみに、家庭用蓄電池やEVのバッテリーは「kWh」で書かれます。1000Wh=1kWhということになります。
ただし、この電力量がそのまま使えるかというとそうではありません。変換ロスが必ずあります。
1kWhとあっても、それは中身の充電池の容量にすぎず、変換回路を通ってAC100Vになるまでにも変換ロスがあり、100Wの機器を10時間使うよりも前に電池がなくなってしまいます。
変換ロスは機械によってさまざまです。さらに、その電源を使ってスマートフォンを充電する場合はACアダプター充電回路の変換ロスもありますのでもっと下がることは覚えておいたほうがいいでしょう。
そして、大事なのは最大電力です。例えば1kWhのポータブル電源があったとしても、1000Wのホットプレートを使えるかどうかは別問題です。
ポータブルバッテリーは変換回路や充電池の供給能力から最大電力が決まっています。たとえば最大120Wのポータブル電源では、ホットプレートや電気ポットの利用は無理です。300W程度の電動芝刈り機も使えないでしょう。
ポータブルバッテリーは電気の蓄える容量だけでなく、出力最大電力も気にして選ばないと、使いたいものに使えないということになります。
なお、Youtuberがよく使っているJackeryのポータブル電源は1000W出力対応のものがあります。
初期に登場した実績ある製品ということAnkerの「Anker PowerHouse」がありますが、AC100Vの出力は120Wまでです。キャンプでも使えるのは照明や小さめの音響機器、スマートフォンの充電程度ということになります。
なお、Ankerは新製品も出しています。Anker PowerHouse同等なら現在はAnker PowerHouse II 400が該当します。
そのほかに、安いものもたくさんあり、250Whクラスならば1万円台でも入手が可能ですが、もしかしたら十分な性能や信頼性、安全性を持っていないものもあるかもしれないので、注意が必要です。
出力最大電力ではJackeryに負けますが、信頼性という面ではホンダのリベイドもまだまだ十分な価値があります。
なお、ここで紹介した機器はすべて「正弦波出力」をうたっています。いまどきのポータブルバッテリーで正弦波出力でないものはほとんどないと思いますが、念の為、確認はしておいてください。正弦波出力でないと一部機器で動かない場合があります。