AMラジオ放送は2028年原則終了という真偽不明の情報が蔓延しているようなので、まとめ
ごく一部のメディアのようなサイトでAMラジオ放送は2028年に原則終了という真偽不明の情報を流しています。正しい情報ではなく、その解説にも誤りが多いので、まとめておきます。
現在の状況
- 総務省が、2028年にAM局がFM局になれるよう、制度整備をする
- 民放連が、早ければ2028年秋にAM放送を停波しFM放送へという希望を表明
- NHKは、2026年度に現行のAMラジオ第1と第2を一本化を計画発表
これが、現時点で確認できた情報です。これを「原則終了」と解釈するには無理があります。実際に2028年に終了する可能性はありますが、原則終了とはなっていませんし、民放連は積極的に終了させる姿勢を見せているようですが、NHKは終了するとは言っていません。
そして、このスケジュール自体が遅れ気味です。今月である2024年2月から始まった停波の実験ももともと2023年11月とされていましたし、NHKのAM放送一本化も2025年度となっていました。
実際どうなるかはまだわからないですし「原則終了」というのと「終了できる制度が2028年にできる」のは大きな違いです。
検索してみれば元になっているのは1つか2つの書き込みのようですが、あまり話題にならない事例だけに、この事例をもとに、AM放送終了の機運が醸成されていってしまったとしたら、非常に恐ろしいことです。
「AM波」「FM波」の違いの多くの解説には抜けている要素がある
AMラジオの今後を論じる記事などでは、解説に抜けていることや、誤解を招く点が多く見られます。ラジオの「AM放送」の周波数帯と「FM放送」の周波数帯には大きな違いがあり、変調方式のAMとFMの違いをごちゃまぜにしている解説が多く、大きな違和感を感じます。
- 一般的には「FM波」「AM波」といえば電波形式のこと
- 「FM放送」「AM放送」といえば、電波形式だけでなく周波数帯や放送システム全般のこと
この違いを明確にして解釈しないとなりません。総務省などの資料では「FM放送」「AM放送」と書かれていることを確認していますが、「FM波」「AM波」としている解説もあります。日本におけるワイドを含むFM放送は76.1~94.9MHzで、AM放送は概ね526~1620KHzです。周波数にして100倍程度の差があり、周波数帯の違いを無視してはいけないことになります。
ここまで違うということもあり、FM転換に向けた停波の実証実験にも、どちらかというと周波数帯に起因する問題を確認することを重きを置いているように思えます。