日産からSUV型EV「ARIYA」が発表、500万円で65kWhのバッテリー、どのくらい走れる?
日産からSUVタイプの電気自動車「ARIYA」が発表されました。予告されていたものでスタイリングもコンセプトカーからかけ離れたものではないので新鮮味もないものですが、スペックから見て、かなり売れ筋のタイプと実用性を意識したものになっています。
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/ariya.html
まず、価格は500万円からです。タイプは電池容量が65kWhと90kWh、駆動方式が4WDと2WDがあり、合計4タイプということになります。500万円というのは65kWhの2WDと思われます。2WDのほうですが、明確に後輪駆動や前輪駆動という表記はないですが、フロントの機器類の多さ、メカニズムの透視図などから前輪駆動であると思われます。
スペック表で気になるのはバッテリーの容量のところにカッコ書きで使用可能電力量としてそれぞれ63kWh、87kWhとあることです。ガソリンエンジンのクルマもそうですが、最後の一滴まで使うことは実用上あり得ないため、こうした表記は歓迎です。
では、実際のどのくらい走れるのかですが、スペック表では65kWhの2WDの最大航続距離は450kmとなっています。しかし、そううまくいかないもの。クルマの重さが1900~2200kgとあるので、リーフの6~7km/kWhという電費よりも少し悪くなることが想定され、仮に計算しやすいよう5km/kWhと仮定した場合で65kWhのクルマで最大325km、実用的に安心して走れるのは250kmくらいと考えたほうがよさそうです。
バッテリーの劣化ですが、どこかに水冷とありましたのでリーフよりは緩やかかもしれません。ただ、リーフでの実績から劣化が早いクルマとそうでないクルマがあります。少なめに見積もって10万キロで7割と考えると、10万キロ走ったときで175kmくらいが安心して走れる距離ということになりそうです。
そして、いくらバッテリーの容量が大きくても充電環境の問題があります。急速充電は最大130kWとされています。そんな充電器があれば30分で65kWhがカラから満充電近くできますが、よくある50kWの急速充電器では30分で25kWh以下しか入りません。遠出するとして、満充電で出発して250km走行した後、途中の急速充電では1回で満充電は無理です。そうなると途中で一度充電しても航続距離はそれほど伸びないことになりますし、帰り道に満充電する環境がなければ、何度も充電しながら戻るしかなくなります。
さらに、自宅で行う普通充電では、6kW充電を用意しておかないと一晩で容量の復活は難しくなります。
気になる充電口ですが、位置はフロントフェンダー後方、フロントドアの前になり、急速と普通で左右に別れ、右が普通、左が急速のCHAdeMOになっています。どちらかというと前のほうですが、先端にあるリーフよりは寄せやすく使いやすいと思われます。
なお、発売は2021年です。グレードなど詳細はまだ発表されていませんが、日本車の売り方からしても「500万円」は特別に何もついてないグレードで、満足に乗るにはだいぶ上の価格になると思われます。詳細スペックが出ない以上、リーフやプジョーe-208よりも割安とはならないと予想します。