Nest HelloやRing Video Doorbell、eufy Video Doorbellを使うため、アメリカのドアベルの配線を解説

海外ではスマートドアベルが盛んです。日本でも一部で製品化されていますが、GoogleのNest Helloのようにスマートスピーカーと統合された仕組みにはなっていないなど、使い勝手がよくないので、海外のものを持ってきたいと思っている人も多いと思います。

しかし、Nest HelloやRing Video Doorbell、eufy Video Doorbellといったものを使うときに問題なのが電源の配線です。向こうの国ではドアベルの電源はそのまま使うようになっていると言われ、わけがわからなくなります。

アメリカのドアベルの仕組み

以下は、現物を確認したわけでもなく、数々のアメリカのチャイムの仕様や動画などから確認した上での情報です。間違っている可能性もありますので、応用する場合は自分で確認をとってから使ってください。

アメリカのドアベルは電源トランス、押しボタンスイッチ、チャイムはゆるく規格化されていて、それぞれ別々に揃えても動くようになっています。

アメリカの標準的なAC16Vのドアベル

というよりも、日本のような高度なインターフォンが普及せず、ただのチャイムの動作電圧だけなんとなく揃っているという程度の規格です。出力16V程度のトランスがあり、ただの押しボタンスイッチ、そして、AC16V程度で動作するソレノイド(電磁石で棒が移動する部品)でチャイムを叩くというシンプルなものです。

トランスの容量として16V 10VAや16V 40VAというものが多いようです。また、16Vも正確ではなく少し高めの電圧のようです。日本よりも電灯線の電圧は不安定と聞きますので、低かった場合に備えてトランスの出力は高めになる巻線になっているのかもしれません。

そして、アメリカの配線の特徴として、チャイム用のトランスは電灯線に直で接続していることが多いです。ですので、アメリカの取り付け方のビデオには「必ずブレーカーを切って」とあるのはそのためです。そうでもないとトランスに電圧がかかったままです。

Nest HelloやRing Video Doorbell、eufy Video Doorbellの設置

ゆるく統一された環境があるからこそ、Nest HelloやRing Video Doorbell、eufy Video Doorbellが簡単に設置ができるようになっています。回路を見ればわかりますが、押しボタンスイッチの両極にはAC16Vが通常かかっていて、スイッチを押せば電流が流れてソレノイドが作動しチャイムを鳴らす仕組みです。

押しボタンスイッチ部分をスマートドアベルに置き換えるとスマートドアベルの両端子間でAC16Vが取れます。ただし、ソレノイドの抵抗分がありますので、電流を多く使えば電圧は下がりますし、チャイムを鳴らすときはスマートドアベルの端子間は短絡させないといけないので、一時的に電源を確保する仕組みも必要とします。

例にあげた3つの機器は、押しボタンスイッチ部分を置き換えるのは一緒ですが、配線方法が微妙に違います。

まず、大きく違うのはeufy Video Doorbellです。驚くことにチャイムを無効にしてしまいます。チャイムの両極をジャンパでつなぎますので、機器はただ配線から電源を取るだけとなります。そのかわり、室内のチャイム音は別途、ワイヤレスで音を出す機械が付属しています。おそらく、既存チャイムを鳴らすための回路の仕組みが面倒で省きたかったのでしょう。

eufyの配線。ソレノイドを短絡して無効にしている

次に、Nest HelloとRing Video Doorbellです。これらは既存のチャイムからも音が鳴る仕組みです。特にRing Video Doorbellは本当に押しボタンスイッチを置き換えるだけの配線です。

Ringの配線。ただ単にスイッチをRingに置き換えただけ

Nest Helloはチャイムのところになにかを挟んでいます。おそらく、チャイムの規格もさまざまなので確実に動作させるために調整するなにかを入れていると思われます。

Nest Helloの場合、チャイムの部分にも挿入する

 

アメリカと同じようなドアベルの環境を用意する

次に、日本でスマートドアベルを実際に取り付ける方法を考えます。

まず、同じような環境を用意しなくてはなりません。16V出力の電源トランスを用意しますが、18Vや20Vなど少し高めのほうがいいかもしれません。そしてトランスの容量ですが、10VAや40VAなどとスマートドアベルの種類によって要求する容量が違いますので、それに合わせます。面倒なら40VAのトランスを買っておけばいいのですが、18V2.5Aクラスとなるとけっこう高いです。10VAでいいなら18Vなら0.75Aといったトランスでもあればいいので、よく機器を確認します。

日本でアメリカのAC16Vのドアベルを使う場合の配線

よくある電子工作用のトランスだと、40VAならトヨデンのHT-203、10VAなら同じくトヨデンのHT-201あたりでしょうか。これをうまく箱におさめて保護回路とコンセントや端子を付けます。海外用トランスでも同様です。アメリカでは電灯線直結ですが、コンセントを別途付けたほうが扱いが楽です。アース線は特に付けなくても問題にならないでしょう。

ACアダプター形状のものも市販されているようですが、あるサイトで見たのはAC120VをAC18VにするものでAC18Vは0.5Aでした。AC100V環境で使うと15V0.5A出力で7.5VAになってしまいます。電線の長さがあったり、線が細かったり、古い電線で抵抗値が大きいものだとぎりぎりかもしません。よく考えた上で使ってください。

次に、チャイムです。日本には市販品はありませんが直輸入している業者もあって入手はそれほど難しくありません。eufy Video Doorbellならチャイムは不要ですが、そのほかはチャイムなしで直結するとどういう影響があるかわかりません。ボタンを押したとき、電源がそのままショートすることになるからです。

Nest HelloとRing Video Doorbellではスマートフォンなどがないと玄関のボタンを押した場合でも無反応になってしいまうので、チャイムを用意したほうがいいでしょう。

なお、Ringに関してはバッテリー内蔵で配線不要にできるものもあります。また、どちらでも使えるものもあります。バッテリーで使うのもひとつの方法ですが、充電が面倒ですので、できることなら電源配線ありで考えたほうがいいでしょう。

注意すること

大事なことなのでもういちど言いますが、これはあくまでアメリカのチャイムの仕様や動画などから導き出した情報です。単純なことなので大きく違うことはないと思いますが、ほかに隠れた仕様があるかもしれません。

また、トランスはアメリカのものを流用してもいいですが、日米の電灯線の電圧違いでそのままでは低めに出力されます。さらに電線がながければ抵抗分がありさらに電圧は下がります。その点は十分留意してください。アメリカ向けでも電圧タップが複数あって高めの出力が出るトランスもあるので、そういうのを使うのも方法です。

アメリカではトランスは電灯線に直結が多いようですが、手軽にやるにはコンセントを付けましょう。コンセントを付ければ「電気工事」にならないので免許不要ですし、メンテナンスも楽です。さらにそのあとのドアベルまでの配線も「電気工事」ではありません。

そして、日本のドアのベルにはアメリカのような規格はありません。あったとすれば、今はあまり採用されていませんが、100Vを直接押しボタンスイッチで入り切りして鳴らしたもので、パナソニックのEG331のようなスイッチは昔はよく見かけました。部屋の中にはAV100Vで駆動するEB723Wなどのベルを設置していました。

 

 

また、よくあるインターフォンは、2芯の細い配線を使います。両側に付けるものは機器独自のもので、片側だけを交換してどうこうすることはありません。日本の規格はDC5Vと言う人もいますが、それはインターフォンの配線をテスターで電圧を測っただけのことで、通常、そこには機器独自のさまざまな信号が乗っていますので、ただDC5Vの電源を供給しているという単純なものではありません。誤解しないようにしましょう。

Nest Hello Video Doorbellを日本で使う場合、配線はそのまま使えるが必要な機器はある

玄関のIoTインターホンは通常の2線の配線でringもnestもいける

Nest HelloやRing Video Doorbell、eufy Video Doorbellを使うため、アメリカのドアベルの配線を解説” に対して1件のコメントがあります。

  1. なべ より:

    お世話になります。
    わざわざ更新していただき、ありがとうございます。

    またまた非常に参考になります。
    実は既に待ちきれずこの記事に気づく前に注文してしまいました。

    eufyとトランスは海外製の24V 40VAです。
    トランスも日本製と悩みましたが、海外で使われてるものの方が間違いないのかな?と電気に疎いので見た目の違いもあり、分からなかったので輸入しました。価格も送料込で1600円と安かったのも要因です。

    輸入したらとりあえずはAcアダプタで動作確認をしつつ、施行してもらう電気屋さんに現物を見てもらいながらトランスの設置箇所なども検討してみようと思います。

    また環境が整いましたら、結果報告させていただきます。

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