夏休みの工作で注意! アルカリやマンガン乾電池のかわりにニッケル水素充電池を使う場合は発火の恐れあり

最近、あのIKEAがアルカリ乾電池の販売をやめ、充電池に切り替えていくという発表をしました。すでに、店舗ではIKEAの黄色いアルカリ乾電池の在庫はほとんどなくなっている店もあり、発表よりも前に店舗で電池の切り替わりについて説明している例も確認できています。

https://www.ikea.com/jp/ja/this-is-ikea/newsroom/20210629-battery-release-pub5d323a50

充電池にすることでゴミが減るばかりでなく、繰り返し使っていくことでわずかな電気代を足してもコストも削減になる可能性があります。

しかし、問題もあります。電池の特性が違うことによる事故の可能性です。

充電池はリチウムイオン、ニッケル水素、ニッケルカドミウムのいずれも内部抵抗が低いです。

乾電池のように内部抵抗が高いと、電流値が大きくなっていった際、電圧降下が大きくなり、結果的に負荷側の電圧が下がり、電流値も低くなります。

反対に内部抵抗が低ければ電圧降下が少なく、電流値がどんどん上がっていきます。まさに、中学校で習うオームの法則です。これを、モーターで回るおもちゃや工作物にあてはめてみます。

モーターの負荷が大きくなる場合、乾電池の場合は電圧が下がり電流も下がり、当然回転も低くなります。

しかし、充電池では電圧があまり下がらず、電流も下がらず、回転は高いまま維持されます。

これは、発熱も大きくなることを意味します。

さらに、モーターの回転を手で押さえつけた場合です。おもちゃや簡易工作に使うマブチの130モーターなどの直流モーターは、押さえつけて止めると巻線の1つだけに電流が流れ、そこだけが発熱します。回転もしないと放熱作用もありません。

乾電池の場合は内部抵抗が高いので電流は下がっていき結果発熱も低くなりますが、充電池の場合は発熱が大きくなり、周囲を溶かし、場合によっては発火につながります。

市販のおもちゃの場合は、ある程度不測の事態も想定して設計しているはずなので、大丈夫なこともありますが、問題はこの時期の夏休みの工作です。モーターで回るなにかを作り、モーターの周囲を加工しやすい紙やバルサ材で覆うこともよくあることです。

そのため、市販のおもちゃよりも事故になる条件は揃っていると思います。しかも、二学期になって校内でまとめて展示され、場合によっては研究レポートの画用紙と隣合わせになり、可燃物と接触して展示してあるところに、別の展示物がよりかかってスイッチを入れ、さらに別の展示物がひっかかりモーターの動きを阻害すれば、火災などにつながる可能性は高いと言えます。

なかなか起こらないことではありますが、乾電池ならば問題にならなかったことが、充電池にすることで大きな問題になることもあります。特性の違いは十分に認識しておくといいでしょう。

ちなみに、乾電池とニッケル水素充電池ではプラス側の突起の出っ張りが違います。充電池のほうが凸部が小さいので、電池押さえの工夫で充電池だと接触せず、使えないようになっているおもちゃもあります。安全のためや、若干の電圧違いによるトラブル防止のためでしょうが、単純に充電池に置き換えができないモノもあることは覚えておいたほうがいいでしょう。

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