電動のクルマを走らせるのは危ないという自覚は持つべき。プリウスもリーフも
プリウスの事故が話題です。直接関係ないかもしれませんが、プリウスは危険なクルマです。というか、電動化されたクルマ自体が危険な存在です。このことはよく自覚する必要があります。
なぜ危険かというと、電気モーターで発進加速するクルマは低速トルクが強く、発進加速が得意ということです。
そして、音がほぼなく静かに走行するため、人が気づいてくれず、事故を起こす確率が上がります。これについては、車両接近通報装置が義務付けられてから多少は改善しているはずです。
日産リーフは2010年発売のため、電動車の危険性が知られたあとに出たクルマだけに、キーンと鳴る車両接近通報装置が標準装備です。バックするときはバックっぽい音がなります。昔のトラックみたいですが、静かに走るクルマには絶対に必要な装備です。
それに対するプリウスは1997年発売と古いことで車両接近通報装置は当初付いていません。付いたのは今から1つ前の型の途中です。トヨタの音はビューンビヨビヨという音ですが、バック警報音はありません。トヨタのハイブリッドシステムの特性としてエンジン回転を反転させるギアがなく、バックは必ずモーターによって行うため、エンジン音がしないことも多く、後ろにいてもバックすることが気づきにくいです。
しかも、事故で話題の2つ前の型のプリウスは車両接近通報装置はなく、オプション装備もありませんでした。前進時も後退時も音がないので極めて危険と言えるでしょう。夕方は真っ先にライトを点灯させてクルマの存在を明らかにしなければならないのに、自照式メーターのおかげで、真っ暗になっても無灯火で走ってるプリウスも目立ちます。
しかも、2つ前の型のLEDテールライトは故障が多く、ブレーキを踏んでも点灯しないこともあり、危険度はさらに高いです。その型のプリウスのLEDテールライトはユニット交換しか修理できないそうで、費用の面で修理を躊躇して故障のまま走り続けている人もいるかもしれません。
本来であれば、電動化したクルマをいち早く世に出したトヨタには、電動化したクルマの特性を世に示して対策する責任があるはずですが、車両接近通報装置の装着も遅かったですし、バック時の警報音もいまだありません。しかも、後ろの視界がかなり悪いプリウスにも関わらずです。
もうひとつ悲しいのは、現在のプリウスはもっと視界が悪くなっていることです。着座点を下げて走行安定性を高くしたとしていますが、窓ガラスの下のラインは変わってないのに着座点だけ下げれば視界が悪くなるのは当然です。左側の視界はかなり悪く危険です。車両接近警報音は動き出さないと鳴らないので、クルマにぴったりくっついた小さいこどもなら、見えずに動き出してしまう可能性があります。
加速が得意な点は、交通渋滞を緩和するためにも有効です。プリウスは電気モーターとエンジンの両方で協調できるため、さらに強い加速ができます。本来有効な特徴ですが、操作ミスをした場合に向けて、安全対策が求められるはずです。プリウスは衝突被害軽減ブレーキといった装備の装着は遅く、現在の型になってからです。
今話題のプリウスの事故。直接的な原因は今後の捜査結果を待ちたいと思いますが、電動化したクルマは急加速が得意で、視界が悪く、周囲に気づいてもらいにくいクルマがその多くを占めます。対策せずに野放しになっている現状はよく覚えておくべきではないでしょうか。
なお、日産リーフの場合は、車両接近通報装置は最初から全車についています。左後方視界や後方視界もあまり良くありませんが、プリウスに比べればマシです。しかも、初代から周囲360度の映像を移す「アラウンドビューモニター」がオプション設定されており、装着車も多いので状況はプリウスよりもだいぶマシと言えるでしょう。同様に日産のハイブリッドカーもバック警告音が鳴るようです。
これから電動化したクルマはさらに増えるはずです。電動化したクルマには従来の常識にない危険があるということを、運転者、そして世の歩行者はしっかり自覚すべき問題だと思います。