最近、卒FIT目当ての蓄電池の訪問営業が多いようですが……
最近、太陽光パネルが設置された家は、蓄電池の訪問営業を受けたり、DMが届いたりする人は多いのではないでしょうか。多くは「太陽光パネルの活用について……」などと話すことが多いですが、だいたいは蓄電池で自家消費をするというもので、「電気をタダみたいな価格で売るなら、もっと有効活用方法があるよ」のような言い方で営業するものです。
そこで、一般論ですが、ビジネスで負担になるのは人件費です。自分も含めて人は人件費が給料の元になるわけなので、人件費を否定するわけにもいきませんが、払うほうとしては無駄な人件費がかかるビジネスに費用を払うということは、多く無駄な費用を負担することになります。
人件費といっても正当なものなら問題ありません。例えば、製品についてよくわからなければ、それについて相談にのってくれる場合。それは正当な人件費です。
しかし、ゴリ押し営業、ほど無駄なものはありません。数打てば当たる的な営業のうち、外れた弾に費やした費用は、結果的に当たった人が負担することになってしまいます。ときにはこういった営業も気づきを与えてくれて役に立つこともあるので全否定はしませんが、無駄なことが多く、ゴリ押し営業が続くと無関係な人に余計な手間をかけさせたり、時間を消費させたりします。
そして、ゴリ押し営業ができる商材というのは、粗利が大きいか、すでに十分な粗利が出ていて、より儲けるためにゴリ押し営業をかけていることが多いです。逆に言えば、その商材は値下げ余地が非常に大きいということです。
残念ながら住宅そのものや、住宅設備、リフォームはそんな業界です。戸建て住宅ならリフォームや太陽光パネルの訪問営業を受けたことがない人はいないでしょう。そして、今、太陽光パネルを備えている家に続々と押し寄せているのが蓄電池の営業です。
楽天などのネットショップで住宅設備を買ったことのある人ならわかりますが、住宅設備の粗利の高さは相当なものです。それが、工事費も含んだ金額を見積もりを見ると、なぜか部材は定価、まともな工事費も計上され、気持ちだけの出精値引きが付いているという感じです。また、ネットショップに扱いの少ないものは提示された価格から実際の掛け率を推定することは難しくなります。
特に蓄電池は金額も高く、仮に部材の掛け率が高かったとしても、粗利益額は多くなります。そのため訪問販売にも熱が入るのでしょう。
そして、一部でトラブルの話もききます。蓄電池を検討するなら、営業さんが出す月々の光熱費の試算に惑わされることなく、設備費用のローン支払いや、今後かかるメンテナンスコストなど十分に考えたほうがいいでしょう。
そして、そもそもの話ですが、現在の仕様や価格では蓄電池の有効性については疑問点が多く、コスト面だけなら蓄電池が得になるケースは少ないと思われます。いくら電気が安くなるからという触れ込みでも、そのために補助金を引いたとしても百万円オーバーのローンはばかげています。
電気代が安くなるといっても、今払っている電気代の金額を超えて安くなることはまずありません。太陽光パネルを装備して電気代が現在5000円の家なら、全く電力を買わない状態でも最大で約4750円しか安くできませんし、貯めた分は買取金額が下がります。そして、少しでも電力会社から買えば最大で4000円程度しか安くできません。
本当にゼロ購入ができたとして20年でたった約114万円の節約です。夜間蓄電して昼間に売って粗利を稼ぐことは、自由化前の夜間激安のプランに入っていた人でさえ夜間は13円/kWh程度なのですから無理な話です。停電時に安心という話もしますが、実際に長い停電が続くわけもなく、仮に長期停電ということになれば、ガスや水も止まるため別の場所に避難せざるを得ないのが現実です。
果たして、そんな状況で、蓄電池に数百万円のローンをしますか? もちろん、蓄電そのものを楽しみたいといった場合は別です。
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