EVに関する「トヨタすごい」の大合唱はちょっと待て、冷静に考えたらフツーのこと

EVに関する話を過去にいくつか上げていますが、先週のトヨタの発表以来、「トヨタすごい」の大合唱に違和感を感じています。自動車系のジャーナリストのみなさんのお付き合い的なヨイショは放っておいても、踊らされている人もいるようです。

まず、そもそもですが、BEV(電池で駆動するEV)への流れは止められません。これまで消極的という姿勢があったにせよ、フルラインナップメーカーであり、馬鹿ではないのですから、ある程度の規模でBEVをやるというのは当然です。準備をするのは普通に考えれば当たり前です。

そして、今回の発表ではBEVは年間350万台の規模としています。トヨタの年間販売台数がざっくり1000万台とすれば3分の1ということになります。全数BEVを掲げた会社からすればその比率は低いものです。

全数BEVの会社の目標は絵空事という言い方もでき、トヨタは現実的という言い方もできますが、目標は高く持つのが普通なのと、トヨタも今回の発表会でコンセプトカーを並べただけで、実際に商品に近いものはありません。そして、販売店の体制もまだこれからで、プリウスPHVを出していながら、急速充電器の普及への投資がないことなどからほぼ準備はこれから、と言ってもいいでしょう。

レクサスは全数BEVを掲げていることから、富裕層の高級車は快適なBEVに一足先にシフトするという今、世界のプレミアムブランドで起こってることと全く同じです。

レクサスの販売台数は年間70万台として、そこがすべてEVになるとするとトヨタブランドのBEV販売台数は280万台で、トヨタブランドでは約3割がBEV、従来車は7割となります。レクサスの伸びを想定しているならば、トヨタブランドのBEV比率はもっと下を想定しているかもしれません。そうなると現在の部品会社、整備担当者の雇用を確保するということとも辻褄が合います。

そして、何よりも、350万台の体制は整えるが、需要に合わせて数値は上下するようなことも言っています。これまでトヨタはユーザーの需要に合わせて商品ラインナップを整えてきた、それはつまり、悪く言えば、他社が作った市場を奪い取ってきたこれまでの歴史とも合致しています。

そう考えると、今やっている当たり前のことを、コンセプトカーを並べて発表しただけに過ぎないのではないでしょうか。トヨタはBEVは否定的、もしくは本格展開はしないと考えていて「安心」していた人たちからすれば衝撃的なんでしょうが、少し冷静に見てみるといいかもしれません。

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