スマートホームはパナソニックが勝つか、海外勢が勝つか?
スマートホーム/スマートハウスは今後どうなっていくか。このままでは国内勢力はパナソニックが勝つ一方で、海外勢の勢力がじわじわとやってきて混沌としてしまうと予想します。
パナソニックが勝つ理由としては囲い込み戦略が功を奏することです。HEMSに対応した分電盤と主要な住設のどちらも供給できることから、「AiSEG」という独自規格で囲い込みを進めるということです。
スマートホーム/スマートハウスはスマートスピーカーや遠隔操作が肝ではなく、気候や電力事情によって自動で動かすことが実利につながります。
FIT後の補助金のない太陽光発電であれば、売電をするのではなく効率的に自分の家で使い切ることが重要です。そのためには気候予測をもとに太陽光で発電した電気をエコキュートで温水としてエネルギー蓄積するという方法が不可欠です。
常に太陽光発電でエコキュートを動かしていたのでは、雨や曇の日は割高な昼間に温水を作ることになります。天気が悪いと予想されるなら未明に温水を作り、晴れが予想されるなら昼間に温水を作るという天気予報に連動した制御が必要になります。
晴れの日の昼間に沸き増し運転をする程度ですが、パナソニックの場合、HEMS対応の分電盤「スマートコスモ」とAiSEG2ユニット、対応エコキュートがあれば可能です。エコキュートは現行機種ならすべてAiSEG対応です。エコキュート導入時に分電盤を交換するならば、数万円のプラスで天気予報連動の動作が可能になります。
業界ではECHONET Lite規格で通信ができるようになっていますが、具体的にどう接続して活用するかをアピールしないうちに、パナソニックのAiSEGで囲い込みが始まっているというわけです。
ちなみにAiSEGはオープンな規格としてる面もあり、エアコンではダイキン製も絡めることが可能ですが、日立も東芝も三菱も……とはいかないでしょう。
スマートHEMS : 本体でできること(省エネ支援)
http://www2.panasonic.biz/es/densetsu/aiseg/merit/energy-b.html
そんな混沌とした一方で世界ではアップルのHomekitという規格があったり、Google Home対応、Amazon Axela対応、さらにはIFTTT経由で連動させたりと進んでいます。それらに連動して自由に設定したリモコンの赤外線を出す装置もあり、一応日本の家電も制御が可能です。
ただ、赤外線リモコン経由は不安定でフィードバックがありません。赤外線リモコンのない給湯器も制御ができないことになります。国内では空調機器や熱を発するような機器をオンするような汎用的リモコンは業界的にNGな雰囲気があり、このままで出てこないような気がします。
すぐには実現しないと思いますが、IFTTTにも連動するようなオープンなリモート規格に対応するエアコンや給湯器などが日本に進出し、人気を集めるようになってから日本の通産省も業界団体も対応するんだと思います。
でも、そうなる頃には日本の家電メーカーは何社か姿を消すか外資に買われているかと思います。
結論としては、スマートホームを目指す場合、できることも規制だらけで少なく、必ずしも良い製品ばかりとは言えないパナソニックのAiSEGに縛られるか、現実的な価格で先進的な取り組みをするか少し危ない海外製品を選ぶかの選択です。それでも、現在、製品が販売されていることから当面はAiSEG対応製品を選んでおくしかないのかな、と思います。