北海道の停電は電力システム上、しょうがない部分
北海道で地震が発生しました。電力に関して言えば大規模停電やむなしというところでしょう。それは電源が50Hzの交流で周波数の同期が必要な現在のシステムからすると、発電機の回転数=周波数が落ちてくれば切り離す必要があるからです。
大地震ともなれば、回転しているモノはいったん停止して安全確認する必要もあるでしょう。例えば5個発電所があり、そのうちの3カ所が停止したとします。電気は2カ所に対して集中します。そうすると負荷が大きくなり、発電機は回転数低下の方向に向います。火力なら燃料を多く供給して回転数を維持しようとできますが、限度もあります。ちょうど坂道でアクセル踏んで速度維持するような感じです。
それでも負荷が大きくなりすぎて発電機の回転数が下がってしまうと、電力ネットワークから離脱せざるを得なくなります。交流ですから同期が絶対で、合っていなければ電力になりません。
再稼働ですが、再接続したときでも定格出力を超えないことが条件で、回転を調整して同期した時点で接続します。ただし、同期した瞬間に負荷が増えて回転が乱れることもあるので接続は簡単ではありません。
ちなみに小さな発電機である太陽光発電でも系統連系しているならこの操作をパワーコンディショナが自動でやってます。太陽光発電は回転する発電機がなく、半導体のスイッチングで周波数と交流を作っていますので同期もコンピュータまかせ。発電がはじまって送電開始までカウントダウンがありますが、この間に電力網と周波数同期をしています。
同期しなければ、もう少し融通きくの?
説明すると難しくなるのですが、電源の周波数を同期しない方法もありですが、それはそれで問題があります。たとえば太陽光発電は不安定すぎるので、系統連系でもしなければ安定的に使えません。雲がかかれば出力大幅ダウンで送電止まりますので、太陽光発電だけで電力を構成するのは不可能です。メガソーラーであっても同じです。
では、火力発電ごとに独立して同期でもいいのかと思いますが、やはりここで完結してしまうと日常的な電気の需要の変動への耐久性が弱くなります。電力網は広域で同期することで冗長性を増し、変動に強くなっているからです。
北海道と東北の間のように同期に関係ない直流で融通をきかせる仕組みをもっと作ればいいですが、それだと変換ロスや変換設備のコストが問題になります。
つまり、さまざまな実情と電源の冗長性と安定性と経済性を考えた場合、今の方法がベターなのではないかと思います。ここに至るまでも検討しているはずですから。