ガス発電のエネファームに注意、メリットをよく考えてみたほうがいい

エネファームの新製品が発表され、一部で称賛記事が流れています。エネファームとは簡単に言えば家庭用のガスの発電機です。発電するだけでなく熱を他に効率的に使うことで、トータルで「エコ」だと言っています。しかし、注意しなくてはなりません。

エネファームを語る2つの「メリット」をまず考えてみましょう。

(1)「熱効率が高く、エコである」

そうはいっても、小さい規模で発電してもどうなんでしょう。火力発電所が熱を捨てているという計算との比較から成り立っていますが、今は原発アレルギーと再生エネルギーへの過度な期待から火力発電所へ依存が高まっていてバランスが崩れた状態ですが、これがもう少し落ち着けばまたエネファームが高効率の優位性も変わってきます。

また、熱効率が高くなっても、エネファーム導入の200万円という導入コストはどう回収するんでしょうか。多少のエコロジーでも決してエコノミーではありません。年間5~6万円とうたわれている光熱費節約もあくまでモデルケースであり、確実にあてはまるわけではありませんし、仮に6万円としても34年かかります。

(2)「停電時に安心」

これは本当にありえない話です。地震では電気よりもガスが先に復旧することは通常ない話です。地震ではガス管のチェックに時間がかかるので、電気は止まらなくてもガスは止まる確率は非常に高いです。ガスだけ生き残った状況になるのはレアケースです。しかも、エネファーム業者は停電は1~2日ではなく1週間でも大丈夫などとありえない長期間を想定しています。

そして、ガス会社がガスを送る場合、電気のポンプで送っています。住宅地によってはガスを送るためのポンプ室のようなものが住宅地の一角にあり、そこへの給電が止まったらガスも止まります。充電池や発電機があるかもしれませんが、1週間以上も持たせることは現実的ではないですし、停電時にそこまでメンテナンスが回るとも思えません。

騒音問題に対する答えが示されていない

そして、超低周波騒音という問題は改善された兆しはありません。相変わらずガス会社の営業担当は「回転部分がないので無音」と売り込んでいるようですが、電気が流れるところ、磁界ができて金属があれば動きが発生するのは「フレミング左手の法則」から明らかですし、それを否定したらモーターもスピーカーも成り立ちません。

あちこちで騒音問題が発生していながら、メーカーは正面から騒音問題があることを明らかにしていませんので、新製品で騒音問題が改善されたかどうかについても触れられていません。しかも、最近発表のパナソニックの新製品では、狭小地用モデルも用意されており、隣地に接して設置は推奨しないという設置ガイドと矛盾するという酷いことになっています。

つまり、新型になっても良くなっているのか悪くなっているのか、全くわからないということです。超低周波騒音の問題は、エコキュートのように明け方の数時間、ブーンやゴーという物理音がするものと違って改善はしにくいです。しかもエネファームは常時稼働です。

需要減少の現実を見て

そういった問題を抱えており、家庭用にはメリットを探すほうが難しいくらいのエネファームです。私には何ひとつデメリットを覆すメリットが感じられません。

ガス会社の需要確保といった面もあるかもしれませんが、電力自由化で電気販売にご執心のガス会社もあり、もはやガス会社もエネファームを見放しているように感じられます。現在、導入に要注意な住宅設備のひとつといえるでしょう。需要が減少したのか、エネオスと東芝は撤退済で、残るはパナソニックとアイシン精機です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください